審査委員長総評

小坂 竜

株式会社乃村工藝社商環境事業本部
A.N.D. エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター

 選ぶ基準をどこに見出すかのに戸惑いもありましたが、僕らにとっては身近な素材であるがゆえに、貼るという行為に創意工夫やアイデアがあると共感できます。コストなどの制限から代替品として使うこともあるわけですが、むしろポジティブに捉えて、自らのデザインを実現するために「ダイノック™フィル ム」の機能や表現力を、皆さんうまく活用していますね。
 「Rock paper scissors」は、使い方から色の選び方まで全体にデザインのしたたかさを感じられます。シート材ならではのシャープでフラットなディテールも効いている。ごく少量なのにデザインの主役になり得ています。
 「t.Next」は素材を生かした丁寧さや軽やかな気持ち良さがあるのかな。コストや法規などの制限を感じさせないデザインになっています。

審査委員総評

長坂 常

スキーマ建築計画 代表

 実はフィルムやシートという素材にしっかりと向き合ってこなかったこともあり、審査の難しさはありました。しかし、たくさんの作品を見ていくうちに、素材としてのキャラクターというか、主張みたいなものも見えてきました。特に耐久性や不燃性能といった機能を鑑みると方法として一つの選択肢に挙がってきます。
 素材としてのわずかな差異でも広げてみることで、その差異を自分でもデザインとして採用できそうだなと感じました。
「Rock paper scissors」は全体的な仕上がりが良かったことに加え、フェイクのグラフィックに使うというアイロニカルなところが面白いですね。「ダイノック™フィルム」らしい表現にまとめられています。
「haco(1+2+α)」では、この窓にカーテンを付けなくていい、ということが、地味ではありますがとても重要なことで、リアリティのある使い方だなと思います。